【映画 ダイナー】窪田正孝(スキン)にとってのスフレとは・・・

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藤原達也主演の映画”ダイナー”

元殺し屋のボンベロがオーナー兼シェフを務める殺し屋専用のレストラン”ダイナー”。ここはボンベロが許可した殺し屋だけがそこでご飯を食べる事が出来る完全会員制のレストラン。

そこの常連客の一人である、窪田正孝が演じる殺し屋”スキン”。顔中に傷があり、そのルックスから同業者から「雑巾男」などと呼ばれるが、本当は凄まじい腕の殺し屋。

しかし、スキンがここに来る大きな目的は、オーナーのボンベロが作る甘くて美味しいスフレを食べるためだ。彼はスフレを食べてこう言う「俺はこのスフレを味わうためだけに生きてるんだ」と。

個人的にはこの映画の中で最もメッセージ性が高く、大きな見どころなんじゃないかと思っている、この「スキンとスフレの関係」を、忘れぬ内に振り返っていきたいと思います!

(細かなところで話が間違っていたら申し訳ない!)

※なお、この記事は映画の内容を盛大にネタバレしているので、まだ見て無くて、なおかつ楽しみにしている人は絶対に見ないでくださいな!

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スキンの壮大なる生い立ち

スキンは”殺し屋”ですが、非常に温厚で優しい人です。

ですが、他の殺し屋と比べても「過去に何かあった感」的なオーラがゴリゴリに放たれています。 映画内ではあまりその辺の過去は掘り下げて語られていませんが、スキンの過去を紐解くキーワードとして 「母親」 「スフレ」 この2つが今のスキンを作る非常に重大な要素になっています。

なお、その辺の事は漫画版ダイナーの3巻で語られています。

スキンと母親と傷

スキンは元々母親と二人暮らし。貧しい生活だったが母親は優しく、いつもおやつに作ってくれる蜂蜜のスフレが大好物でした。

しかし、母親には重大な秘密がありました。母親は実は怪しい宗教に入っており、その教祖と不倫をしていたのです。案の定ソレはバレてしまい、激怒した教祖の妻に捕まり、「聖水」と称した「硫酸」を顔に浴びせられ、顔がエゲツない事になります。

母親はこんな顔ではスキンの母ではいれないと言うが、優しいスキンは「自分も同じ様に顔がグチャグチャになれば問題ない」と言い、顔や体をナイフでザックザク切っていきます。

それがスキンの傷の真相。

スキンを救ったスフレ

母親はせめてスキンを助けたいとの気持ちから、※元旦那のもとを訪ねます。元旦那は現在政治家になっており、裕福な生活を送っています。話し合いの席にはもう一人、元旦那の用心棒である「クサカベ」という殺し屋が同席していました。

※漫画版には明確な描写が無いので「元旦那」か「元彼」かは正直ハッキリしてません。

元旦那もまた、母親の作ったスフレが大好きで、会合の際にも自慢のスフレを振る舞います。しかし、話はこじれてしまい結果的に母親は元旦那に銃撃され瀕死に・・・そのまま元旦那はスキンに銃口を向けるが、次の瞬間、クサカベは雇い主である元旦那をボコります。

(恐らく、元旦那が目の前でクサカベの事を小馬鹿にしたり、子供に手を出すという、クサカベの流儀に反する事をしたからかもしれません)

驚くことに母親は、命からがら虫の息でクサカベに「息子を頼みます」とお願いします。それを受けてクサカベがスキンに一つ提案をします。それは 「面倒見てやる代わりに母親にトドメをさせ」 と。母親大好きなスキンは当然猛反発するがボコられます。

そんな中、残っていた食いかけのスフレを口にする場面があります。それを食べた瞬間、「母親を殺すくらいなら俺も死ぬ!」と考えていたスキンに「生きたい」という強い思いが生まれ、結果的に母親に自らトドメをさし、生きる道を選びます。

そうしてスキンはクサカベに拾われ、殺し屋として人生を歩むことになります。

スキンにとっての抑制装置

スキンは究極の状況の中、母親の美味しいスフレを口にした事によって、母親にトドメをさしてでも「生きる」選択を取りました。

だから、スキンが「俺はこのスフレを味わうためだけに生きてるんだ」と言うのは当然の話。それが生きるきっかけになったのだから。

そして、ボンベロに母親のスフレの事を話したら、何とボンベロは母親とほぼ同じ味わいのスフレを作ったのです。まさに料理の天才!しかし、決定的に違うのは、ボンベロは常にスフレに異物を混入させていました。

チェスの駒だったり、硬貨だったり、カミソリの刃だったり。

スキンはスフレを食べて最高に高揚している時に異物を噛んでしまって、最後はガッカリして「俺はまだ完全なスフレを食べれないんだ」と肩を落とします。

しかしとある日、カナコがスフレを作ります。優しいカナコは異物を入れずに、完全なスフレを提供します。スキンはそのスフレに大喜び。ようやく完全なスフレが食べれたのです!

その高揚が最高潮に達したスフレが次にとった行動は・・・・

銃の乱射!乱射!!乱射!!!です。

文字通り「狂った」のです。完全なスフレを食べるという事は、同時に母親を殺してしまった過去のトラウマが蘇り、スキン自身を自死に追い込んでしまう危険なトリガーでもあったのです。

スキン自身は不完全なスフレを食べるという不本意な結果を得る事によって、逆に過去のトラウマを思い出さずに済んでいたのです。

何とも常人には理解しがたい矛盾ですが、そんな矛盾こそがスキンの命をつないでいたんですね。

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まとめ

この映画の中で、話の内容として興味深かったのがこのスキンの話でした。

完璧な物を与える事が必ずしも正しい事とは限らない。むしろ不完全な状況だからこそ、それが生きる糧になっている人間もいるという話は、考えた事も聞いた事も無い価値観だったので、ハッとさせられる内容でした。

確かに、ゲームなんかも完全完璧にやり込んで攻略したら、ある種の虚無感が生まれますよね(笑)もうやる事なんもねぇみたいな。ある意味それに近いのかもしれません。

スキンの話に関しては、彼のバックストーリーを知った上で見ると非常に切なくなります。また、そんな暗い過去を持つスキンを窪田正孝さんが渾身の演技で演じてくれるおかげで、その設定に凄く説得力を感じます。

本当に役柄はベストチョイスでした。

面白かったなぁ。ダイナー。

以上です!