【映画 アルキメデスの大戦】のネタバレを含む感想!

菅田将暉主演の、戦艦大和の建造を巡って繰り広げられる会議型エンターテイメント作品「アルキメデスの大戦」を観ました。

話の内容的に「エンターテイメント」と呼ぶのは少し不適切かもしれませんが、間違いなくエンターテイメント的要素は強い映画じゃないかなと思います。

まず感想の結論から言いますと、すっっっごく面白かったです!!

菅田将暉さんを始め、舘ひろしさん、國村隼さん、柄本佑さんらの名俳優さん達の演技は一切文句なく、中でもやはり主人公の菅田将暉さんの変態数学者ぶりは本当に素敵でした(笑)

では、まずあらすじをとりあえず書きます。

アルキメデスの大戦のあらすじ

昭和8年の日本は欧米との対立を深めていた。

このままではいつか戦争が起こる事は目に見えている。いずれ起こる戦争に備えるべく、日本帝国海軍上層部は巨大戦艦・大和の建造を計画していた。

しかし激動する時代の中、今後は空中戦がメインになると確信し、空母(海の上を移動する飛行場や基地のようなモノ)を作る方が実用的で、今どき戦艦など古いと異を唱える海軍少将の山本五十六(舘ひろし)がいた。

問題は、山本が提案する「空母」とすでに決まりかけている「戦艦大和」のどっちがコスパいいか?という話が海軍の議題に挙がり、2週間後にどっちが良いか会議で決める話へと展開する。

両者の制作費用はほぼ同じだが、戦艦大和の方が数百万安い。それに何より、大和は見た目も超巨大で美しく力強く立派な戦艦だ。まさに日本を象徴するような偉大さがある。上層部も大層お気に入りだ。

しかし、山本の提案する空母よりもはるかに巨大な戦艦がなぜこんな低予算で作れるのか・・・冷静に考えれば実に怪しい見積もりだ。明らかにカラクリがある。

その予算の謎をどう解き明かすかを考えるべく、山本らは料亭で思案を巡らすが、そこで偶然のきっかけで出会ったのが数学の天才・櫂直(かい ただし)だ。

山本ら「空母派」と櫂直は協力し、大和の疑惑の予算の謎を解き明かしていく。

しかし、櫂直の本当の目的は大和の不正を見抜き、空母を作るためではない。

全ては、数学の力を使って戦争を止めるために・・・!!!

アルキメデスの大戦の感想!

熱っぽくあらすじを書いちゃったんですが、ぶっちゃけて言うと物語の冒頭から話の結末が丸わかりになっています。

話の冒頭はずばり、戦艦大和が米軍の爆撃機などによって集中攻撃を受け、あっけなく沈没してしまうところから話がスタートします。つまり、この映画の結末は「結局、戦艦大和は沈む」という結論ありきで話が始まります。

つまり、この映画は戦艦大和が沈むまでの過程の話が映画になっているわけですね。

そして、本編は大和沈没の9年前(8年だっけ?汗)になります。戦艦大和の低予算のカラクリを暴くべく、山本が櫂直をスカウトするわけです。

で、山本は櫂直に海軍入隊早々に「少佐」というランクの高い階級を与え、それに伴い田中(柄本佑)という子分をつける話になりますが、この田中という男は超クソマジメでカタブツで規律を絶対に守る堅実な男。

対して菅田将暉演じる櫂直は一言で言うとアウトローなヤツです。超マジメな田中くんはどうにもこのアウトローと一緒なのが目に見えて苦痛な感じなんですが、この凸凹コンビ感がまたいい感じなんですよね!

戦艦大和の予算を調べるに当たって、材料費や人件費、細かな寸法などが書かれた戦艦大和の建造計画書が必要なんですが、大和賛成派は当然それを渡しません。嘘がバレちゃうからね。

それならばと、戦艦大和じゃないものの、実際の戦艦を見に行ってソレを参考にしたり、かつて海軍の造船に関わっていたメーカーを訪ねたりと、時には規律を破ってでも戦艦大和の詳細を調べ上げ、本当の造船予算を突き止めていくわけです。

そんな中で、最初は櫂直の事を煙たがっていた部下の田中も、櫂直の真実を追求する姿勢や、圧倒的数学力などを目の当たりにし、次第に本当に息のあった上司と部下の関係になっていくんですが、そうなっていく過程も本作の見どころだと思います!

で、トラブルの連続続きだったがどうにか運命の会議に間に合い、ここから大和賛成派VS反対派の会議バトルが始まるワケですが、ここでの櫂直さんの演技がまぁ凄い!黒板にズラズラ〜っと数式を書き、論理的に大和の建設費用の嘘を暴いていく展開になります。

難しい数式をスラスラと書きながら説明する菅田将暉さんの演技は、恐らくめっちゃ練習したんだと思いますが、自然すぎて「菅田将暉さんって数学得意なのかな?」と勘違いするレベルです!(本当に得意なのかは分かりませんがw)

で、圧倒的な根拠を用いて大和の製造費用の嘘は暴かれて、大和の計画は無事におじゃん・・・・・ってなると思ったらどんでん返しですよ!大和を立案した平山という軍人はこんな事を言いやがります。

「不正をした事は認める。見積もりを安くしたのは、敵国をダマすための作戦だった。」

軍の予算費などは、実は海外からも見れるようになっています。

そこで、戦艦にかかった費用などを敵国が見て、「この位の予算って事は、作られる戦艦もこんなもんだろ」と予想をたて、その予想を元にして敵国もそれに対応する準備をします。

しかし、日本が発表した予算に嘘をつく事で、いざ戦争になった時に敵国が「えぇ!!あの予算だったのに、何!?あの戦艦〜〜〜!!やべぇ・・・・!」と、相手がひるんだ間に敵をやっつけちゃおう♪という計画だったようです。

その話に大いに上層部は納得しますが・・・!天才・櫂直は今度は戦艦大和の決定的な欠陥をこれまた論理的に説明します。これには大和の設計主の平山も何も言えない展開になり、平山は完全に負けを認めます。

しかし、そこから幾月が過ぎた時、平山は櫂直を呼びこんな話をします。

「数学的な美しさを求めるお前の事だ。本当は戦艦大和を完成させたいのだろう?」と。櫂直はそれを聞き、ハッとするが、すぐさま気を取り直し、否定します。平山は更に

「日本はアメリカには勝てない。全てにおいて日本のような小国が、あの様な大国に勝てるはずは無い」

櫂直はその話を納得せざるおえない立場だった。櫂直は海軍に属する直前まで、アメリカに留学する気でいた。なぜなら平山と同じような考えで、日本なんてすでにオワコンだと櫂直自身も思っていたからだ。

「このままでは日本は滅びる。なぜなら日本は負け方を知らない。我々日本人は日露戦争の勝利にもまだ酔いしれている。戦争が始まれば、日本人は最後の一人になっても勝利を諦めないだろう。そうなれば本当に日本が滅ぶ。」

黙りこくる櫂直。

「戦艦大和をなぜここまで立派な物にするのか。それは、この大和こそが日本の象徴だと国民に知らしめるためだ。大和が完成すれば、日本はこの大和による勝利を信じて疑わないだろう。しかしそれが沈んだらどうだ?大和の沈没。すなわちそれは日本の負けである。国民全員死ぬよりは大和一隻が沈む方がマシだ」

平山が大和を作る衝撃の理由がここで明らかになります。

いや!本当にこのロジックを聞いた時は鳥肌が立ちました・・・・!

平山のこの残酷なほどに合理的な理由は、ずば抜けた思考力を持つ櫂直を納得させるには十分な理由です。むしろ、何なら櫂直自身も平山と同じ事を少しは考えてたんじゃないか?とすらも思えます。

現に櫂直はそれに対してまともに反論できてないからね。まさかの櫂直が論破されちゃってます。

そして、そこから話は大和の出港直前まで進み、櫂直は大和を見ながら部下に「俺は大和を日本そのものだと思っている」と言い、部下は「そうですね」と嬉しげに答える。

その直後、櫂直は大和を見ながら静かに涙を流してエンドロールへ・・・・

最後の最後のオチの部分の話が本当にエゲツないです。

まさかそんな衝撃展開になるとは本当に思いませんでした・・・

そのオチを聞いた状態で冒頭の大和の沈没シーンを思い浮かべると、全くあのシーンの解釈の意味がガラーーリと変わってきます。。。

結局、数学で戦争を止める事なんて元々無理だったんだなって思った時、櫂直の虚しさを思うと本当に悲しくなります。大和の不正を暴こうと、あんなに頑張った事も、数学の天才ともてはやされた事も、日本を見限ろうとして渡米しようとした事も、その全てが虚無に変わったワケですからね・・・

そう思うと、非常に後味の悪い映画とも言えます。

でも、この映画はエンタメ要素も含めて、非常に記憶に残る映画だったんじゃないかと思います。

僕的には非常にオススメしたい作品の一つです!!!